dartmaniaです。
ロイヤルダッチシェルは、ホタテ貝のロゴやシェルのガソリンスタンドで有名な欧州最大の石油メジャーです。
上流側(探鉱)から下流側(販売)まで一貫して事業を展開している垂直統合型の企業です。
ロイヤルダッチシェルは確認埋蔵量では世界第三位、生産量では、エクソン・モービルに次ぐ世界第二位を誇っています。
元々は、2005年にロイヤルダッチ社とシェル社が合併して出来た企業であり、オランダとイギリスに籍を置いています。
そのためオランダ株としてRDSA、イギリス株としてRDSBがあります。日本で買付するのであれば、源泉徴収のないRDSBが圧倒的に良いです。
今回は、RDSBについてもう少し詳しく企業分析をしてみたいと思います。
基本情報
ロイアヤルダッチシェルは2005年7月に上場したエネルギー総合会社です。
ティッカーはRDSB(もしくはRDSA)でNYSEにADRとして上場しています。
S&P格付はA+で3,6,9,12月の4回に分けて配当分配されています。
企業理念と戦略
世界のエネルギー事情が忙しく変化する中、ロイヤルダッチシェルは石油、ガス、低炭素エネルギーを提供する事により、エネルギー会社の先頭を走っていく事を大きな戦略としています。
また、人口増加に伴うエネルギー需要の高まりに対して、より多くの、そしてクリーンなエネルギー作りにも力をいれています。
この様な背景から3つの大望を掲げています。
・世界規模の投資で、利益とフリーキャッシュフローを高め、強固な財務体制の構築をする
・社会が望む環境に優しく便利で競争力のあるエネルギー(エネルギー転換)を生み出し繁栄させる
・継続的に社会に認められ貢献する
つまり今後の人口増加やエネルギー需要の高まりを受けて環境に優しく、お客様想いの製品を提供し続ける事により、より強固な財務体制にしていこうという事です。
事業ポートフォリオの強化
フリーキャッシュフローを高めると言う事は、コストを削減しノンコアビジネスを手放し、コア事業に集中しようと言う事でもあります。
事実、2015年にはBGグループを8兆円超で買収しています。
買収目的は「深海油田開発」と「LNG事業の強化」で、今後上流開発をより強固なモノに出来るかがカギとなってきそうです。
また、2017年には電気自動車充電サービスを提供するNew Mortionを買収し、欧州で拡大するEV市場の需要に対するポートフォリオの強化を行っています。
こういった一連の流れは、ロイヤルダッチシェルの戦略とも合致していますね。
ビジネスモデル
ビジネスモデルは先も話した様に探鉱、開発、製造、輸送、販売まで一貫(上流〜下流)して行っています。
大きく探鉱(Exproration)、開発・抽出(Development & Extraction)、製造・エネルギー製品(Manufacturing &energy production)、輸送・貿易(Transport & Trading)、販売・マーケティング(Sales & Marketing)の5つの分野に分かれます。
セグメント別比率
セグメント別の売上が掲載されています。Integrated gasは天然ガス(LNG)の事です。
売上比率をグラフにすると次の様になります。
こうしてみると、下流が圧倒的な売上を占めている事が分かります。一般的に原油安になれば下流側の利ざやが大きくなります。逆に原油高にになると上流側の利益が大きくなります。
地域別売上比率
続いて地域別売上比率を見てみます。
ヨーロッパは約33%、アジア・オセアニア・アフリカを含めて約38%、アメリカが約22%となっています。
さすが石油メジャーの一つといったところで、世界のあらゆるところにリスク分散されているのが分かります。
ロイヤルダッチシェルの財務諸表分析
次に三大財務諸表の分析をしてみましょう。分析に当たっては、Morning Starの指標を参考にしています。
PL(損益計算書):利益率は10%未満
一目で見て売上に対して営業利益や純利益が少ない事が分かります。恐らく利益率は低いんじゃないかと予想されます。
実際に利益率を見てみると、営業利益率は10%に届いていません。純利益率は5%を切っています。
その理由を見てみると、売上原価で約80~85%程度が計上されています。販管費や研究開発費は微々たる割合です。
この事から、下流側の割合が大きく原油安であってもあまり利益は出せないと言えるかもしれません。
事実、川上より川下の方が利益率は良い傾向にあります。
BL(バランスシート):安定した株主資本
安定性を示す流動比率は問題ありません。
資産を見てみると、半分以上が有形固定資産となっており業界特有の高い値になっています。
一方、負債を見てみると株主資本が約半分ほどあり、いざという時には安定している事が見て取れます。
CF(キャッシュフロー):資金繰りに難あり!?
企業の資金繰りを見てみると、フリーCFが時折マイナスになっている年もあります。
2016年には原油安をもろに受けている様な印象を受けます。やはりエネルギーセクターは外部環境に大きく左右されると言えそうです。
とはいえ、バランスシート上では内部留保額はかなりあるので、ちょっとやそっとの事では潰れないでしょう。外部要因に対するリスクヘッジもしっかりしていますね。
配当:減配に注意
ここ数年は、配当性向が100%を超えています。その前までは約50%程度に留まっていました。
RDSBの配当利回りは非常に高く、高配当投資をしている人にとっても人気の銘柄です。
減配リスクがないとは言い切れませんが、配当に関してはドルでの積極的な還元をする姿勢がホームページから読み取れます。
原油安が続いたり、外部環境の影響で売上が伸びず減配する可能性もあります。
まとめ:キャッシュフローの安定性に欠けるが配当は魅力的
高配当戦略をしている人にとっては配当利回りが高いロイヤルダッチシェルは魅力的に映ります。会社規模も大きく、内部留保も沢山あるため短期的に倒産や経営危機には成らないと思います。
とはいえ、エネルギー業界は外部因子に左右されがちなので、動向を見ておいた方が良いでしょう。