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野村証券のE-ship制度のメリット・デメリットまとめ

dartmaniaです。

最近、E-Ship制度を導入している企業をよく見かけます。名目としては従業員の労働意欲向上のために導入されるケースが多い様です。

今回は、E-Shipの仕組みとメリット・デメリットについて紹介します。

E-Ship制度とは

E-Shipとは、信託型従業員持株インセンティブプランが正式名称です。Employees Share Holding Incentive Planの略です。野村信託銀行と野村証券の共同開発商品です。

よく米国で普及しているESPOと言う制度を応用して作ったものと言われていますが、手段や目的が異なる様に感じます。

ESPOは、企業が全額負担して自社株を購入し、従業員に退職や年金給付として分配する事です。つまるところ富の再分配制度です。

株価上昇に対する報奨金制度

言葉で説明するよりも表で説明した方が分かり易いでしょう。野村信託銀行に分かり易い表がありました。

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それでは順に説明していきます。

従業員持株会信託(従持信託)が設定されます。これは、従業員の資産を信託会社に委託する事です。3~5年程度の拠出株式金額を前もって購入する事になります。

株を購入するので資金が必要となります。そのため銀行からの借り入れが必要ですよね。銀行と持株加入企業が保証契約を結ぶ事で成立します。これを元手に余力を創出します。

③〜⑤

銀行から借りたお金で企業は一気に株式を購入します。その後、企業は従持信託に毎月時価で株式を売却します。企業はそれにより得たお金と配当金を用いて銀行に返済を行っていきます。プラスであれば良いですがマイナスだと追加でお金を払う必要が出てきます。

⑥〜⑧

信託終了時に残余財産がある場合、即ち株価が値上がりした場合はその剰余金が従業員に分配されます。

 

ここまでをまとめると、企業は前借りして株価を購入し、値上がりした場合はそのお金を従業員に分配しますよって事です。

これにより従業員のモチベーションを上げようって魂胆ですね。

株価が値下がりした場合は

勿論、値下がりする場合もあります。その場合は保証人がリスクを背負う事になります。とはいえ実際は、企業が負担する事になるでしょう。

企業が導入するにあたってはこのリスクを踏まえる必要があります。それでも導入したいと言う事は株主を減らしたくない事や株価の下値維持のためであると推察します。

分配金も課税対象

分配金にも課税されます。これは給与所得として課税されるのでその分、住民税や所得税が増加します。

分配金額の決定方法

分配金額は、分配金総額に持株会全体の増加株数に対する自分の増加株数の割合をかけた金額が分配されます。

つまり自社株式を多く持っていればいる程、分配金も多くなると言う事です。非常に単純明快です。

E-shipのメリット

企業ではなく従業員持株会に加入している従業員にとって、デメリットはほぼありません。寧ろあわよくば分配金が貰えるのでメリットです。

一方、企業業績が不安定であればリスクは大きくなります。将来、株価が下落した分だけの損失が生まれますからね。

ただ、個人ベースでは持株会をするかしないかの選択の所でリスクは決まります。

持株会に加入しているのであれば、導入されている企業は勝手に導入されているので従業員は何もしなくてよいです。

株価が上昇して一定期間が過ぎ、売却益が出ていれば分配金はもらえますし、値下がりした場合には偉業が負担するので目には見えません。

デメリット

企業側のデメリット

企業側にはデメリットがある様に思えます。企業はあわよくばさらに儲けてやろう精神ですよね。

今後も業績が右肩上がりで上昇する場合を除いて利益は出ません。

先程も言った様に企業は毎月株式を時価で売却していきます。いわば逆ドルコスト平均法です。

初めに買付けた基準価額よりもその時の売却価格が上回っていれば利益となり、その逆であればマイナスです。

株価が下落基調であれば企業の負担は増えます。また手数料も発生しますので負担はさらに大きくなります。

企業はよほど考えて、慎重に導入の可否を選択する必要があるのではないでしょうか。

自社株買いとも比較出来そうですが、株式の出回る数量や売却予定である事、そして企業ではなく従業員が保有する事になるため効果としては明らかに差があります。

個人の負担

もし下落リスクに乗っかってしまったら、実質的な給与の目減りは避けられないでしょう。そのリスクは、E-Shipに加入していない持株会よりも大きくなります。

米国文化が日本で成功するとは限らない

マクロで見ると、人口減少が続いている日本で今後も断続的に株価が上昇し続けるかどうかは甚だ疑問です。

もしE-Shipを導入するようであれば、今後の動向や業種動向に目を光らせる必要があります。

持株会のある企業で持株会に加入していない人にも負担!?

リスクを取らずに持株会に入っていない人に対しても負担が出てくる可能性はあります。

株価が下落した場合の負担は企業が取りますが、しわ寄せは少なからず来るでしょう。業績が落ちているのに株価下落でさらに投資でも負債を抱える事になると思うとぞっとします。

勿論、サラリーマンは業績上昇のために精を尽くすわけですが、こればかりはどうなるか分かりません。

これはますます持株会の是非について議論が活発化しそうです。 

まとめ

E-Shipについてまとめてみました。株価が上昇すれば問題ありませんがリスクヘッジをするためのサービスであるとは思えません。

寧ろ持株会をさらにハイリスクハイリターンにしたものであるとも言えます。

従業員に対しては、不利な状況になりませんが、実質的に企業の価値が落ちる可能性は秘めています。

 

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持株会は投資を始めたきっかけでもあります。

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